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さとp

非公開

2009/01/25
22:23
「夜を走る」 筒井康隆

14編からなるトラブル短編集。
全体的に背景が古臭いと思っていたら、書かれてあのはずいぶん昔だった。

全体的に奇想天外なのは言うまでもない。
「あまりにも極限状況に壊れていく人々~」と帯のコピーにあるとおり、
どんどん壊れて行く主人公たち。
何処まで行くんだと思いつつ、その破天荒さに飲み込まれていく。

例えば表題の「夜を走る」。
アル中のタクシー運転手の一夜の物語。
解説者の小林氏が書いている通り、大阪弁の主人公の語りで書かれているこの話は、あたかも落語のようだ。
乗せた客の様子を見ながら、妄想が炸裂。
いろんな客を乗せては降ろし乗せては降ろし。
その間に、我慢しきれず酒を飲む。
そして妄想はふくらみ、それが現実になり、そしてまた、酒を飲む。
今ではありえない話ではあるが、面白い。

最初の話の「経理課長の放送」も、
最初はなんだかわからなかったが、まぁ、これは私がまともな会社に勤めていなかったので仕方がないが、たぶん普通のサラリーマンであれば、身につまされるというかよくわかる、もしくは主人公である経理課長に肩入れして読んでしまうのではないかと思われる。
上から下からの板ばさみで、嫌なことを押し付けられて四苦八苦する姿は、その立場になくても笑える。
悲惨さが伝わってきて面白い。

あと、短編というよりはショートショートな「人類よさらば」は星新一氏を思いだした。
人類滅亡の危機から逃れた一台のロケット。
安住の地を求めて金星にたどり着いたはいいものの、根本的な事をうっかり忘れてしまっていて・・・・という話。
なんとなく基本的なショートショートの見本を見せられたようだった。

筒井氏の短編はどちらかというと、ブラックユーモア的な作品が多いように思うが、どうだろう。
今回の短編集も、どちらかというとハッピーというよりはアンハッピーな気がするのだが。
だけど、笑える。
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